雰囲気に乗ることも大切
本サイトで提供する「空売り適性分析(SALINAS : Short Aptitude Laconic INdividual Analysis System)」は、ある銘柄について「空売り適性がテクニカル的な観点でどの程度あるか」を客観的に表したもので、主として直近にネガティブ情報を発表した銘柄を分析対象としています。この分析を実際のカラウリにどう活かせばよいかご説明します。
株価を動かす材料は好悪さまざまあり、そうした材料を踏まえて売買をすることが基本になります。しかし、われわれ一般投資家が公開された情報を知った時には「株価には織込み済み」と言われることも多いのではないかと思います。それでは、公開情報だけが拠り所の一般投資家に勝ち目はないのでしょうか。そんなことはありません。確かに機関投資家やプロ投資家と比べると、情報入手のタイミングは遅くなりがちですが、蓋を開けてみると「材料が完全に織り込まれてしまい株価に一切影響が生じない」ということの方が珍しいと思います。それはなぜでしょうか?
それは、公開情報を入手してから動き出す一般投資家にも、多少は株価を動かす力があるからなのです。ネガティブな情報が出たら売りたくなる、ポジティブな情報が出たら買いたくなる、というのが普通の人間の感覚です。一般投資家の多くは、普通の感覚で売買判断をしますので、情報を踏まえて素直な方向に株価が多少触れていくことになります。
ある意味「雰囲気に流されている」と言えなくもなく、その程度が大きくなると、いわゆる「イナゴ」というような動きが見られることもあります。たいていの場合、雰囲気で株価が動くのは一時的で、ほどなく株価は本来あるべき水準に是正されていくことになります。成長が期待され株価が上昇基調にある優良企業であっても、ネガティブ情報を発表すると株価にはマイナスのインパクトがあり、売り優勢になることがあります。しかし、本質的に成長性が失われない限りは株価の上昇基調は崩れず、下落は一時的なものにとどまり、再び株価は上昇に転じることでしょう。
リスクを回避する短期売買
ネガティブ情報が発表された場合に「一時的な下落のタイミングを捉えて空売りを行う」のが「カラウリ・タッチアンドゴー」です。タッチアンドゴ―というのは元々「航空機が着陸後、停止せずに再び離陸する」という航空用語で、危険を回避する場合などに行われるものです。ネガティブ情報により一時的に株価が下がりそうな場合に「空売りを行った後、出来るだけ早く買戻しをして離脱する」ことで、エントリーする時間を極力短くしリスクを回避する、という考え方になります。結果的には利益の幅は薄くなることもありますが、その分失敗する確率を低くして、トータルの収益を高めるという手法になります。
「空売り適性分析」はネガティブ情報(ファンダメンタルズ情報)が出た銘柄の空売り適性、つまりテクニカル的な株価下落可能性を示したものですので「カラウリ・タッチアンドゴー」実施のガイドとしていただくことが可能になります。「空売り適性分析」がなくとも、ご自身で判断いただくことも可能ですが、銘柄選定を効率的に行うためには、ガイドを使うことも有用ではないでしょうか。
「カラウリ・タッチアンドゴ―」の実践方法
具体的な実践方法です。業績などのネガティブ情報が発表された場合、当日中(遅くても21時頃まで)に「空売り分析適性シート」が掲載されます。そのシートには、日経平均の地合も加味したテクニカル面での空売り適性が記載されています。ファンダメンタルズ面で多少なりとも問題がある銘柄ですので、加えてテクニカル面でも空売り適性が高い銘柄があれば、空売りを行っていきます。
基本は「翌日の寄付き(始値)で空売りエントリーし、その後の安値で買戻す」という手法になります。対象としている銘柄は、過去のデータに基づくと、平均的に寄付価格(始値)から2%程度は下落することが期待されますので、空売りに要する諸費用を考慮して買戻し価格を設定して下さい。
また、まれに始値が安値となって、寄付き後上昇を続けるケースもあります。そのような場合に備えて、注文時には損切ポイントも合わせて設定しておくことを忘れないでください。多くの証券会社で「OCO(One Cancels the Other)注文」ができると思います。損切ポイントは低い水準で設定します。基本は下落するはずの銘柄ですので、イレギュラーに上昇した場合は、すぐに損切りして構いません。
たいていの場合、翌日は前日終値より下落して始まると思いますが、中には前日より高く始まる場合もあります。それでも始値から徐々に下げて安値を付けることが多いので、「カラウリ・タッチアンドゴー」は有効です。但し、寄付き前の気配の段階で前日終値を大きく上回っているような場合は、ネガティブ情報を打ち消す動きとなっている場合もあるので、少し様子見をした方が良いでしょう。
空売りは比較的短期決戦となりますが、「カラウリ・タッチアンドゴー」は特に短い時間での手仕舞いを目指します。場合によっては寄付き後に一瞬で終了することもあります。大きなホームランは出にくいですが、コツコツとヒットを重ねて収益を積み上げていく手法ですので、この手法が性に合うという方は、是非お試しいただきたいと思います。