高まる米国株人気
ここ数年、米国株に関心を持つ方が増えているように感じます。国内の主要な証券会社も、米国株関連のサービスを拡充し、日本株と同じ感覚で売買できる仕組みを提供しています。
日本株取引を長年続けてきて、新たに米国株取引も始めた、という方が多いと思いますが、最近では「初めての株式投資が米国株」「株式投資は米国株オンリー」という投資家も増えています。それだけ米国株には日本株にない魅力があるということかもしれません。
一方、これまでの米国株取引は現物取引が中心でした。一部証券会社が提供していた「CFD(差金決済取引)」等を除くと、一般の投資家は米国株の信用取引を実施づらい環境でした。
米国株は中長期的には明らかに上昇基調にあり「放置していれば株価は上がる」という時代が続いてきましたので、現物のバイ&ホールドで基本的には問題なかったのでしょう。「中長期的なスパンで考えるのであればレバレッジを利かせる必要がない」と割り切るのであれば信用買いは不要ですし、場合によってはブル型のレバレッジETFもあります。
しかし、いかに右肩上がりの米国株とはいえ、株価は上限に動きますし、ときには〇〇ショックと言われるような急落を見せることもあります。現物買いやベア型のレバレッジETFだけではそうした局面を機動的に乗り切ることは難しいのではないでしょうか。
米国株信用取引への期待
そのような状況で、2022年7月より米国株の信用取引が解禁されることになりました。米国株信用取引導入の最大の恩恵は、空売りが可能になることだと思います。短期的なスパンで米国株を取引したい場合や、〇〇ショックをピンチからチャンスに変えるためには、信用取引の活用が不可欠なのです。
現時点では取引ルール等の詳細は発表されていませんが、日本株も米国株も基本的な信用取引の仕組みは同じです。日本株の信用取引経験者であれば米国株の信用取引は難しくないでしょう。
国内で現物取引できる米国株は5000銘柄ほどありますが、解禁当初は米国の大型株1300銘柄程度が信用取引の対象となるようです。1300の米国大型株は、日本株で言えばトップ100くらいに入る銘柄のイメージです。私たちに馴染みのある銘柄は、ほぼ含まれると考えて良さそうです。
また、日本株の信用取引では保証金率30%、つまりレバレッジ3.3倍程度の取引ができるのですが、米国株の保証金率は50%、レバレッジは2倍となるようです。また、追証の発生基準も日本株は20%となっていますが、米国株は30%に設定されるようです。利用する証券会社から詳細が発表されたら、日米の信用取引の違いはしっかり押さえておきたいところです。
米国株の信用取引の方が条件が厳しくなっているのは、米国株に不慣れな投資家を保護するという姿勢の表れでしょうが、個人的には米国株の値動きの方が日本株よりよっぽど安全(健全)ではないかと思っています。
いずれにしても空売り対象増加により、投資の選択肢が広がり、チャンスは拡大しますので、歓迎すべきことでしょう。米国株の特徴や空売りで注意すべき点については、改めてご紹介したいと思います。