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スリランカの破産、カラウリの注目ポイントは?

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スリランカのデフォルトは初めて

2022年7月6日にスリランカが国家としての破産(デフォルト)を宣言しました。前政権時代、中国から多額の借り入れを行ってインフラ整備を進めましたが、無計画な投資が経済を好転させることはありませんでした。加えて頼みの綱であった主要産業である観光業が、コロナ禍により壊滅的な影響を受けたことで、もはや債務返済が不可能となったのです。急速なインフレ進行と外貨準備枯渇の結果、経済危機、そしてデフォルトに至りました。ある意味、中国のインフラ外交が端緒となった危機であり、アジア・アフリカ諸国は教訓としなければいけない事象かもしれません。

スリランカでは特に石油不足が深刻で、数か月間にわたり断続的な停電が発生したり、ガソリン販売を停止したりしているようです。状況打開のため、かねてより結びつきの深かったロシアに対し石油供給と旅客便再開を求めています。契約履行の問題でスリランカ裁判所がアエロフロート航空の機体を差し押さえたことに反発し、現在、ロシアはスリランカへの旅客便運航を停止しています。意外にも、ロシアによるウクライナ侵攻前においては、スリランカを訪れる観光客数ではロシア・ウクライナが上位を占めていたということです。スリランカ大統領からの要請を受けて、ロシアのプーチン大統領が両国の関係強化について同意したとの報道もあります。

進出上場企業は約20社

ロシアへの協力依頼と並行して、国際通貨基金(IMF)へは金融支援を要請しています。スリランカの財政立て直しプランを8月中に策定するとのことですが、国営企業の民営化といった効果的な財政緊縮策は国民の理解を得られない環境にあるため短期的な状況好転は望めず、経済危機的な状況は来年いっぱい続くとの見方が大勢を占めています。幸いにもスリランカの経済規模は比較的小さく、同国のデフォルトが世界経済へ波及していくリスクは小さいと思いますが、同国進出企業を中心に、日本企業への中期的な影響には注意が必要でしょう。

スリランカに進出している日本企業は90社程度あると言われていますが、業績への影響は現時点では明確には分かりません。データベース上、主要な上場進出企業を抽出しましたが、リスト掲載企業以外にも、造船や海運、商社等同国でビジネス展開している上場企業はあると思われます。但し、各社のスリランカビジネスのウェイトは相対的には大きくないと考えられ、株価に与える影響は軽微だと思われますが、念のため動向をウオッチしておきたいと思います。

スリランカに現地法人を有する主な上場企業

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