突出した規模の米国市場
国内の証券会社が提供する米国株の現物取引関連サービスが拡充されています。米国株の取扱銘柄も徐々に増加しており、主要な証券会社では5000銘柄前後の米国株が取引可能となっています。一方、7月から開始される米国株の信用取引においては、全ての米国株が信用取引の対象になるわけではありません。開始時点で信用取引が可能な銘柄は、一定の条件を満たす銘柄に限られます。
但し、限定されると言っても、米国の主要指数であるS&P500やNYダウ等の構成銘柄のほか、時価総額50億ドル以上の銘柄等、あわせて約1300銘柄ありますので、個人投資家の方々にとって大きな問題はないと思われます。
注意が必要なのは、証券会社によって取引可能な銘柄が異なる可能性があることです。興味を持った銘柄であっても、ご自身が利用している証券会社での取扱いがなければ、信用取引を行うことができません。できるだけ多くの銘柄を取引できるようにしておくのであれば、複数の証券会社で米国株信用取引ができる準備をしておくとよいかもしれません。
さて、上述の「米国株の時価総額50億ドル」というバーですが、日本円では約6400億円となります。日本株全体を見渡した時に、時価総額でこの基準を超えるのは200銘柄強しかありません。日本を代表する株価指数である日経平均構成銘柄(225銘柄)の中でも140銘柄程度しかないのです。
日本株で最大の時価総額を誇るトヨタ自動車(7203)でさえ、米国株の時価総額ランキングの25番目前後にようやく顔を出す規模感なのです。こうして日本株と比較すると、米国株の各銘柄の大きさや、市場全体の層の厚さがよく分かるのではないでしょうか。日本以外の各国の株式市場も似たような状況ですので、世界の株式市場の中では米国だけが突出した規模を持っているということになります。

時価総額が大きいメリット
米国市場が相対的に時価総額が大きい銘柄が多いということは、カラウリをする上で大きなメリットがあります。日本株の空売りを思い出していただくと、時価総額が小さな銘柄は株価の変動が非常に大きくなることがあります。
株式投資の世界では「変動(ボラティリティ)=リスク」です。変動が大きいということは、リスクが高い
ということと同義になるのです。継続的に収益を上げるためには「リスクを極小化し、リターンを最大化する」ことが重要です。その結果、リスクリワード比も改善し、トータルの収益性向上に繋がります。
多少のリスクがあっても大きなリターンを狙いたい、というチャレンジングな方には物足りないかもしれません。しかし、投資の目的は資産を増やすことなのです。リスクを冒さずに確実なリターンを狙うためには、米国株の信用取引を活用することが、理に適っていると言えそうです。
時価総額が大きいということは、突発的な予想外の動きにはなりにくいと言えます。日本株の中小型株のように
仕手筋やイナゴの影響力が生じにくいのです。米国ではステイクホルダーとしての株主の地位が高く、その株主が業績やビジネスの状況を極めて精細に確認しますので、不自然な力が働きにくい環境にあります。また、金利や為替、各種統計など市場を取り巻く外部環境の変化に対しても、比較的素直な反応を見せると言えます。
米国株の株価は、企業やビジネスを取り巻く環境から導かれる本質的な価値に向かって収斂していく傾向があ
その意味では投資家にとって安心できる「成熟した市場」だと言って良いのではないでしょうか。
米国株の取引を行う場合、あまり裏読みをせずに、発表される情報をしっかり分析して素直なシナリオ想定ができさえすれば、カラウリが成功する確率が高まると思います。基本的に「ネガティブ情報が出たら下落する」と素直に捉えていれば、大きな失敗をすることはないと考えます。